筆跡診断の歴史

こんにちは。中小企業の人事コンサルタント兼社会保険労務士の伊藤です。

 

現在私は筆跡診断を勉強していることをお知らせし、徳川家康の筆跡特徴を例に挙げてその魅力をお伝えしました。今回は筆跡診断の奥深さを解って頂きたくその歴史について触れたいと思います。

 

実は筆跡診断はヨーロッパで発祥しました。「グラフォロジー」(筆跡心理学)と呼ばれ、ルネッサンス時代にはすでに学問として取り上げられています。筆跡診断士という職業は特にフランスでは弁護士とか建築士と並ぶような権威ある立場にあります。その数はおよそ5,000人に1人の割合です。(日本では30万に1人)多くは人事コンサルタントや会社の人事担当責任者などとして大活躍しています。フランス人というと合理主義で有名ですが、そのフランス人が採用や人事異動の場面で筆跡診断に費用をかけているわけですからその重要性がよくお分かりになるでしょう。

 

1878年、フランスのミッション神父が、グラフォロジーの基礎知識を「グラフォロジーの実践」としてまとめました。フランスグラフォロジー協会(公益法人)は、1871年にミッション神父によって創設され、それ以来、ヨーロッパのグラフォロジーの主導的役割を果たしています。フランスのグラフォロジー協会の旧を含む会員には、ノーベル賞受賞者や第一級の知識人が目白押しです。

 

20世紀に入り、グラフォロジーは、発達した精神分析や近代性格学などの新しい科学と合流し科学的な学問として発展しました。現在、欧米では学問の一分野を形成し、特にフランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、スイスなどヨーロッパではたいへん盛んです。フランスやドイツにおいては、国際学会が頻繁に開催され、また、大きな大学にはカリキュラムとして導入されています。

 

明治以降に日本では多くの知識人が欧米に渡り、さまざまな学問や知識・技術を持ち帰りました。しかし、明治時代にすでに存在していたグラフォロジーについてはあまり紹介されなかったようです。アルファベットと日本の文字の違いから意味がないと考えられていたのかもしれません。

 

そんなわけで日本ではグラフォロジーは独自の発展をしてきました。日本の筆跡診断の第一人者は私が現在指導を受けている日本筆跡診断士協会会長の森岡恒舟先生です。先生は、東京大学文学部で心理学科卒業後、知能検査や学力検査に携わり、あるいは書道学校を主宰するなどのかたわら独自に研究を重ね、ほぼ20年かけて日本の文字による筆跡診断を集大成しました。

 

ところで、日本の会社の95%以上は中小企業です。大企業とは別として、その95%以上を占める中小企業では、採用試験で性格テストを行うことはあまりないようです。おおよそ社長などの責任者による面接で人間的側面が判断されがちです。それはそれで良いのですが、それに比較的簡単に行える筆跡診断による性格チェックをプラスすれば、企業と応募者にとって大変価値のあることだと思います。

 

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